不滅の妖怪を御存じ?





「そんで、何で俺を呼び出したんだよ、天狗の族長さんはよぉ」


とりあえず竜宮城の話題から離れたい。

有明は喧嘩腰にそう尋ねる。
周囲の天狗達が不愉快そうな顔をしたが構うものか。


「あぁ、藍のことで用があってな」


そう言うと、弓月はさっと枝から飛び降りる。
ゆっくりと、木の葉が落ちるかのように有明の前に降り立つ。
身につけていた鈴がシャンと鳴る。


「九木が死んだら、これを藍に渡してほしい」


その言葉と共に、桐の箱を差し出してきた。

そこからにじみ出る妖気。
付喪神が憑いてるな。
だいぶ古いものらしい。

有明はその箱を受け取り中を確かめようとした。


「落とすでないぞ。楢柴だ」

「は!?」


弓月の言葉に思わず箱を落としそうになる。

慌てて胸に抱え込んだが、その様子を見て弓月はクックッと笑っている。
からかわれたのか。





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