不滅の妖怪を御存じ?












天狗の族長、弓月という妖怪は、有明が記憶していたよりも小柄になっていた。

天狗に連れてこられた森の奥。
鬱蒼とした暗さの中。

あちこちから獣の息遣いが聞こえる。
その頂点にあるかのようにそびえ立つ大杉。

齢八百年はいっているだろうか。
その大杉のちょうど中間のあたりの枝に、弓月はゆったりと座っていた。


「乙姫の息子か。話は聞いておる」

「あんな奴、親じゃねーよ」


竜宮城はもうとっくに飛び出した。
過去の話だと有明が舌打ちしてそう言うと、弓月が真っ直ぐに見つめてきた。
静かな、温度を感じない目。


「だが、乙姫の能力を受け継いだのはお主らしいな」


そこまで知っているのか。
天狗と竜宮城は、意外と情報交換をしているらしい。




< 381 / 491 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop