anjel








いつの間にか止まった涙のカケラを手で拭って、


先輩たちの方を向く。


「翔先輩、泣き止みましたよ」


私がそう言うと、言い合いをしていた先輩たちが


一斉にこっちを向いた。


「やっとか」


冷たい言葉だけど、そう言ってる翔先輩は優しく微笑んでいる。


「あーあ、幸望りん目真っ赤じゃん(笑)」


「この後、みんなのとこ戻れるか?」


亮二先輩は笑いながら、奏多先輩は心配そうに言う。


「大丈夫ですよ」


今できる精一杯の笑顔を見せる。


すると、先輩たちは顔をしかめた。


「幸望ちゃん、笑ってないよ」


……どうして?


どうして先輩たちには、作り笑いがばれちゃうの?


友達にはばれたことなかったのに……


「今は無理して笑わなくていい。

 弱音や愚痴は今のうちに吐いておけ」


「翔の言うとおり。

 今だけ、俺たちの前だけは、ありのままの幸望ちゃんでいて?」


翔先輩と奏多先輩の言葉に、また涙がこぼれてくる。







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