anjel
私は立ち上がって、みっくんのベッドの側に寄る。
そして、みっくんの手を取って優しく握りしめた。
「幸望ちゃん?」
「…みっくん。心臓移植、受けてください」
「え?」
「"同所性移植"、受けてください」
私の言葉に驚くみっくん。
近づいて分かった。
みっくんの目の淵に、雫が溜まっていたこと。
「幸望りん何言ってるの!?」
「"同所性移植"ってことは、記憶転移するかもしれねーんだぞ!?」
「でも、翔が言ったとおり、するとは限らないんですよね?」
「……」
「私、みっくんが生きているなら、それでいい。バンドが出来るとか、出来ないとか、それはまたこうやってみんなで考えればいい。そんなことより、生きていることに、意味があるじゃないの…?」
生きていないと、バンドが出来るとか、出来ないとか、考えられない。
生きていないと、こうやって会って話せない。
生きていないと、何にも出来ないんだよ…?
「だから、みっくん、生きて。生きるために、心臓移植受けてください」
ぎゅっと手に力を込める。
ほら。
「みっくんの手、こんなにあったかいじゃないですか……」
こんなにあったかいのに、
死ぬかもしれないとか、
考えないでよ。
「みっくんは、今生きているんだよ…?」
我慢していた涙が頬を伝う。
と同時に、みっくんの頬にも涙が伝っていた。
「幸望ちゃん……」
「みっくん、私のお願い、聞いてくれますか?」
生きて、ほしいんだよ、みっくん。
「…分かった。」
泣きながら、頷くみっくんに思わず抱きつく。
「よかった………」
そんな私たちの側に、3人が近づく。
「ありがとう、幸望ちゃん。」
「幸望りんのおかげだよ…」
「…瑞希が決心してくれてよかった」
それぞれそう言って、同じように私たちに抱きつく。