君しかいらない~クールな上司の独占欲(下)
驚いたように名前を呼んでから、いつもの微笑みに戻って、久しぶり、と言った。



「そうだな」



新庄さんはすっかり食べるのをやめて、椅子の背に寄りかかって脚を組んでいる。

堤さんを見上げる顔に、笑みはない。



「そうか、メディアのチーフやってたんだよね」



私をちらっと見て言う。



「さすが新庄の元部下だね、彼女には、助けられてる」

「そりゃよかった」



私でなくとも、新庄さんの機嫌がよくないことくらいわかっただろう。

明らかに繰り広げられている冷戦に、いたたまれず気配を消す。


短い会話を終えると、堤さんは、じゃあねと私の肩を軽く叩いて去っていった。

はい、と一応笑顔を返した私をじろりと見て、新庄さんは無言で食べはじめる。



「…仲悪いんですか」

「別に」



言うと思った。

そう小さくぼやくと、新庄さんは、悪い、とすまなそうに笑った。



「合わないんだ、昔から」

「昔から?」

「企画部時代に一緒だった。俺が2年目の時、中途で入社してきたんだ」


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