君しかいらない~クールな上司の独占欲(下)
新庄さんは、フォローはするけれど、基本的にミスは本人にカバーさせる。

なぜミスをしたのか、考えさせる。

大事な仕事をこそ、下に任せる。


そこが「怖い」と言われるゆえんであり、彼らしい温かさでもあり。

私は、そんな鬼チーフに、惹かれたんだった。



「新庄さん」



ん? と返事をしながら、新庄さんが少し先に置いてある車のロックを解除する。



「堤さんと合わないのは、新庄さんのブラザーと、何か関係がありますか」



新庄さんが、はっとこちらを振り返った。

やっぱり、そうなんだ。



「…今度話すって、言ったもんな」



つぶやきと一緒に、白い息が洩れる。

乗ってから話す、と言われ、助手席側に回りこもうとした時、エレベーターホールとの境のドアが、激しい音を立てて開いた。


カンカンカン、とヒールの音を立てて駆けてくる人影。


目を疑った。

彩だ。


なんでこんなところに。

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