君しかいらない~クールな上司の独占欲(下)
声をかけようとしたら、新庄さんに車の陰に引っぱりこまれた。
「なに…」
「しっ」
指の背を私の口に当てて黙らせると、彩のほうをうかがい見る。
わけがわからず、私も同じ方向を見ると、彩の後ろからもう一人、現れた。
ジャケット姿の男の人。
男性が彩の手をつかみ、彩が振りほどいて逃げる。
ふたりは私たちに気づかないまま、隣りあうショッピングモールの地下へと続く通路へ、消えていった。
私はそれを、呆然と見送った。
すぐ隣で、新庄さんが「やっぱりな」とつぶやくのが聞こえる。
「知ってたんですか」
もう必要ないのに、つい小声になる。
「横浜で、ふたりを見かけたんだ。相手がわかったのは、今だ」
見覚えがあったから、社員だろうとは思ってたけど、と続ける。
「企画3部の…」
「大森マネージャーだ」
企画3部といえば、うちの部と組んで仕事をする部署だ。
新庄さんが元いた部署でもある。
大森さんとはあまり接点がないけれど、顔と名前くらいはわかる。
「でも、新庄さん…」
しゃがみこんだまま、隣を見る。
声が、自然と気弱になった。
考えこむような新庄さんの顔つきは、私の言わんとしていることに、気づいているんだろう。
大森さんって。
結婚してるんじゃ…。
「なに…」
「しっ」
指の背を私の口に当てて黙らせると、彩のほうをうかがい見る。
わけがわからず、私も同じ方向を見ると、彩の後ろからもう一人、現れた。
ジャケット姿の男の人。
男性が彩の手をつかみ、彩が振りほどいて逃げる。
ふたりは私たちに気づかないまま、隣りあうショッピングモールの地下へと続く通路へ、消えていった。
私はそれを、呆然と見送った。
すぐ隣で、新庄さんが「やっぱりな」とつぶやくのが聞こえる。
「知ってたんですか」
もう必要ないのに、つい小声になる。
「横浜で、ふたりを見かけたんだ。相手がわかったのは、今だ」
見覚えがあったから、社員だろうとは思ってたけど、と続ける。
「企画3部の…」
「大森マネージャーだ」
企画3部といえば、うちの部と組んで仕事をする部署だ。
新庄さんが元いた部署でもある。
大森さんとはあまり接点がないけれど、顔と名前くらいはわかる。
「でも、新庄さん…」
しゃがみこんだまま、隣を見る。
声が、自然と気弱になった。
考えこむような新庄さんの顔つきは、私の言わんとしていることに、気づいているんだろう。
大森さんって。
結婚してるんじゃ…。