君しかいらない~クールな上司の独占欲(下)
「そもそも、無意味です…私にちょっかい出すとか」
「へえ?」
沈んだ声に対して、堤さんは楽しそうともいえる調子で返事をする。
「そんなんじゃ、ありません」
新庄さんにとって、私は。
大事にしてくれていたのは、本当。
だから、堤さんに苛だちもしてくれる。
だけど、それだけ。
新庄さんにとっての私は、それだけ。
私は自分から、大事にされる資格を手放してしまったから。
今は、もう、よくわからない。
堤さんは、ふうん、とたいした興味もないようなあいづちを打って。
「意外と、わかってないね」
そう、つぶやいた。
堤さんが、なのか。
それとも、私が、なのか。
バカじゃないの、私。
この期に及んで、まだ少しうぬぼれる気でいる自分に、心の底から愛想がつきた。
お互いのデスクへと別れる時に、いいこと教えてあげようか、と、堤さんが漠然と上を指差した。
「最上階の喫煙所が、お気に入りだよ、あいつ」