君しかいらない~クールな上司の独占欲(下)

ビルの最上階、食堂と同じフロアのつきあたりに、ガラス張りの喫煙ルームがある。

社内には、ここの他にも数フロアにひとつずつ、もう少し小さな喫煙所があるのだけど、自分が吸わないせいか、新庄さんが、どこで吸っているのかなんて、考えたこともなかった。


エレベーターを降りて、喫煙所のある右手へ向かう。

三度目の正直で、ガラスの向こうに、ようやく求める姿を見つけた。


ちょうど、他にいた数人の男性社員が、喋りながら出てくるところで、新庄さんは、スツールに浅く腰をかけて足を組み、ノートPCを開いていた。


私は、何か話せるだろうか。

新庄さんは、聞いてくれるだろうか。


ガラス戸を押し開けると、ギッというかすかな音がした。

吸煙設備が整っているらしく、中は、予想よりも煙たくない。


新庄さんは顔を上げず、煙草をくわえてキーボードを叩いている。

数歩近づくと、新庄さんが少し目を上げて、続いて、驚いたように顔を上げた。



「大塚…」



煙草を口から外して、喫煙所内に誰もいないことを確認するように、ちらっと周囲を見る。

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