君しかいらない~クールな上司の独占欲(下)
「じゃあ、仕事に関係のある話にしましょうか」
腹が立って、腹を立てていることが悲しくて、声が震える。
新庄さんが、新しい煙草に火をつけながらようやく、私に目を向けた。
「堤さんとの話を聞かせてください」
その話を持ち出すとは思っていなかったのか、新庄さんが一瞬、固まる。
しばらく私を見た後、ゆっくりと目を伏せると、煙を細く吐いて。
ガチャンと、ガラスのテーブルに叩きつけるようにライターを置いた。
私はびくりと震え、一瞬、新庄さんがそのまま立ち去ってしまうのではないかと思ったけれど。
今度話す、という約束を、それでも守ってくれるつもりなのか。
気を落ち着かせるように、もう一度煙草を吸って、ふっと煙を吐くと、新庄さんは話しだした。
「あいつの有能さは、人を責める」
言ってる意味、わかるか、と問われて、うなずく。
よくわかる。
「俺のブラザーは、まあ言ってしまえば、あまり能力が高くなかった」