Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「大丈夫?」

 十夜が完全に消えたのを確認してから、香澄が心配そうな顔をする。
 紗綾は黙って頷く。

「野島が血相変えてきてさ、魔王に浚われたって言うからお姫様を救出にきたってわけ。かっこいいでしょ?」

 ニッと香澄が笑う。

「うん。でも……」
「ごめんなんて謝らないでよね。私はあんたの親友でしょ?」

 紗綾の言葉の先を察して香澄は言う。
 ずっと彼女は自分を助けてくれる。とても頼もしい存在。彼女がいなければ、何もできないのかもしれない。

「よしよし、泣くな泣くな。紗綾は頑張ったよ」

 香澄が頭を撫でてくれる。
 頑張ってなんかいないのに、何も褒められることなんかしていないのに、迷惑ばかりかけているのに、そう思っても溢れるのは言葉より涙で情けなくなる。
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