Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
 香澄に言わせれば、罰ゲーム。
 拷問のような時間は続いている。
 彼女がそう言ったのは何も不気味な勧誘用ボードだけではない。
 深くは触れられこそしなかったものの真っ黒なワンピース、所謂ゴスロリ服が大きな要因だろう。
 紗綾もこれがなければまだ羞恥を感じずに済んだのだ。
 ちらちらと好奇の視線を感じて、逃げ出したくもなる。
 少し離れたところでは、変人揃いで有名な演劇部のロミオとジュリエットがなぜか踊っていて、その側ならば大丈夫だと思ったのが間違いなのかもしれない。

 一年前、自分が生贄にされたように、今度は紗綾が生贄を見繕わなければならなかった。
 生贄とは言葉が悪いが、単にオカ研だからそう言っているというよりは、実際に生贄なのだと言わざるを得ない。
 だから、紗綾としても本当はそんなことはしたくないのだが、拒否できるほど気が強くない。
 立っているだけでいいと言われても、そもそも、こんな格好で新入生が寄ってくるはずもないのだ。
 はぁ、と本日何度目かもわからない溜め息が零れた。
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