Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「紗綾先輩は……あいつの態度見る限り何もなさそうっスね」
「うん、全然。最初の内は黒羽部長も霊感的な選び方だったから、何か力が隠れてるんじゃないかって思ったみたいで、色々試されたけど、全然駄目だった。占いとかも少しも当たらないし。ちょっと不運なだけ」

 圭との言う通りだった。
 紗綾は完全に役立たず認定され、人数合わせのための生贄と化している。

「まあ、その方が幸せじゃないっスかね。視えたっていいことあるわけじゃないっ
しょ」
「うん。先生もそう言うよ。でも、黒羽部長を見てるとね、私じゃなかったらもっと力になれたんじゃないかって思うの」

 力がない方がいいこともあると嵐も言う。
 それでも、やはりサイキックの方が嬉しいのではないかと思ってしまうことがある。
 たとえ、散々迷惑がられていた八千草のようなタイプでも共有できるものがあったのだから。

「お人好しっスね。結構きつい扱いじゃないっスか。先生と合わせて飴と鞭なのかもしれないっスけど」
「でも、黒羽部長だって優しい時もあるんだよ?」

 ただ虐げられているだけだったならば何を言われても部活に出なかったかもしれない。
 前部長八千草がいた時は楽しかったのだ。
 だからと言って、十夜に引き継がれてからも居心地が悪くなったわけでもない。八千草が特別なムードメーカーだったというだけだ。
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