やっぱり愛おしい
しかし貴晶さんは、今春の人事異動で念願の部長となり、多忙を極めることとなり、今までのように直接私への仕事の指示は極端に減ってしまった。

課長の時よりも会議や出張が立て込む週もあり、デスクにいない日が珍しくなくなり、プライベートでも当然、会える日が前より少なくなり、時間の関係で急な場所変更になることも多くなった。

「会えない時は電話やメールをいつでもしてきていい。」
と貴晶さんから言われていたけど、きっと仕事で疲れているはずの貴晶さんに迷惑はかけたくなくて、「会いたい」「寂しい」の言葉を言えないまま、水を飲むように言葉を自分のココロへと流し込んで飲み込んだ。

もっと一緒にいたい。
もっと名前を呼んでほしい。
もっと繋がり合いたい。
贅沢かもしれないけど、私は貴晶さんが……貴方がもっとほしいの。

均等に筋肉がついた見惚れるほど綺麗な肉体に、意地悪な笑みを浮かべながらも、私に「茉優莉」と甘くささやく声。
私はすべてが愛おしくてたまらないから、きっと貴方も同じ気持ちでいてくれている、愛されてると思う半面、なぜか目に見えない不安を感じることも多くなった。

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