やっぱり愛おしい

井上さんの話を聞いてから、仕事を再開しても良い原案が思い浮かばない。
代わりに思い浮かぶのは、藤堂部長…貴晶さんと見知らぬ女性との密会の話。

今日の貴晶さんは出張で不在だったから
、ある意味ホッとしている。
いたら私はどんな顔をしていたか想像がつかないから。

麻ちゃんや柴田さんからは
「きっと井上さんの見間違えだろうから
、真に受けない方がいい。」
と励ましてくれたけど、やっぱり不安で確かめたくもなる。
でも実際に確かめたとして、もしそれが真実になって、別れを告げられでもしたら、私はやっぱりまともに別れに応じられるかわからない。

翌日以降もずっとモヤモヤしていたけど、麻ちゃんの言うとおり、きっと見間違えだろうと、貴晶さんに浮気はないと判断して、少しずつ仕事の遅れを取り戻せるように気持ちを切り替えたつもりだった。

でも私も後日その現場を見てしまい、井上さんの話が嘘ではなかったんだと思い知らされることになるなんて、この時の私は思ってもみなかった。
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