やっぱり愛おしい

私が後片づけをしている間に、貴晶さんは着替えに出ていった。
それはいつもの部屋、私が入ってしまった、見てしまったあの部屋へと。

これから休日出勤に行く貴晶さんを見送った後、私はこのマンションにある私物をまとめる。
ゆっくりと時間をかけて丁寧に、たくさんのことを思い出しながら仕舞い込むつもりでいる。

貴晶さんが帰宅したら、自分から話を切り出すために、ココロの準備もあわせて一緒にしておくつもり。

私は貴晶さんが好きだった。
ううん……今も本当は好き、大好き。
浮気されたのに、あんなところを見てしまったのに、裏切られたのに、私は何でこんなに貴方が恋しいのかな。
何でこんなに愛おしいのかな。
何度も泣いて悩んだのに、決意してここに来て、何度も抱かれて、カラダとココロで貴方を感じてこの日を迎えたはずなのに、本当は別れたくないなんて、なぜそう思ってしまうのかな。
なぜ決意が鈍ってきちゃうのかな。

どんなにあがいても、いずれは打ち明けられるんだから。
私はあの人の、貴晶さんの一番にはなれないんだから。
お姫さまにはなれないんだから。




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