やっぱり愛おしい
「本当はお前の両親に正式に結婚の許しをもらって、俺の両親と貴継にも茉優莉を紹介して、話がまとまってからこの紙袋の中身を見せて、好きな式場を選ばせてやりたいと思ってたんだよ。」
その言葉で、誤解がすべて解けた気がした。
Aホテルにいたのは貴晶さんじゃなくて、双子の弟の貴継さんで、貴晶さんの浮気相手兼婚約者だと思っていた女性は、貴継さんの婚約者の夏希さんだった。
そしてパンフレットは、貴継さんと夏希さんが私たちのためにと思って気を利かせてくれた好意的なモノだった。

だからきっと、井上さんが見たのも、貴晶さんじゃなくて貴継さんに間違いないのに、私は勘違いして、貴晶さんに確かめる事を恐れた挙句に暴走して、貴晶さんとの別れまで決断していた。
貴晶さんは私との将来を、私との結婚を考えてくれていたのに。
うつむいた私に
「茉優莉、俺に言うことあるだろ?」
貴晶さんからのやや不機嫌を含んだ低音ボイスに、背中に緊張感が走った。

貴晶さんの表情が怖くて見れないけど、今回は私が暴走したのだから、私が勿論悪い。
貴晶さんの表情も、顔を見る勇気もなく
、私はうつむいたまま
「貴晶さんごめんなさい。」
と謝った。
しかし、部長モードが入った貴晶さんは
「何に対するごめんなさいだ?」
と、スンナリ許してくれなかった。


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