【完】キセキ~君に恋した時間~
どうしたのかと顔を覗き込めば、チッと
舌打ちされた。
え、舌打ち?
俺、なんかしちゃったっけ!?なんだか
今日は、無意識の内に人を怒らせること
が多い日らしい。
なにそれ。厄日?
舌打ちしたからには、それなりの理由が
あるんだろうと、懸命に理由を考えてみ
たが、わからなくて。
「あのさ、」
───クイッ……
あのさ、俺、なんかした?──そう訊こ
うとしたけれど、それは、美海が俺の裾
を引っ張った事で不発に終わった。
裾を引っ張られたので、美海にまた目を
移すと、ちょっと拗ねたような表情。
「目立ちすぎ」
「え?」
「だから、目立ちすぎ!」
……目立ちすぎ?ああ。
そう言われて、ぐるりと周りを見回す。