【完】キセキ~君に恋した時間~
きっともう、随分と長い間、そんな生活
を続けていたんだろう。
「じゃあ……」
美海がそういってくれるなら、俺も頑張
って美味しいものを作るから。
そう言おうとした瞬間。
「……っ…」
「美海っ!」
目の前で、くらり、と美海が崩れるよう
にしてよろけ、俺は慌ててそんな美海を
抱き締めるようにして、支えた。
美海は眉間の辺りを押さえながら、苦し
気に目を閉じていたけど、やがて、ゆっ
くりと俺から離れた。
「ごめん……」
「だ、大丈夫なのかよ?」
なにもないのに、よろけるなんて。
「大丈夫。ちょっと目眩がしただけ」
「ちょっと目眩、って……」
ああ、まただ。