【完】キセキ~君に恋した時間~
また、胸がざわつく。
そして、ぎゅう、と握りしめられるみた
いに、痛む。
なんでか、目の前の美海に泣きつきたい
ような衝動に、駆られるんだ。
「ほんとに、大丈夫だから……。よく、
あること、だし……」
「よくあること……って…。美海、病院
いこう」
「は?そんなの要らない……ただの立ち
眩みでしょ」
呆れたようにそう言う美海を、見つめる
。
「ただの立ち眩みでも、普通は立ち眩み
なんて滅多に無いんだよ。一応……行こ
う?」
「……わかったわよ…」
諦めたように美海がそう言ったのを聞い
て、俺は美海の身体を完全に離した。
その一週間後。
ガラ、と白い診察室のドアから、美海が
出てきたのを見て、慌てて立ち上がった
。