【完】キセキ~君に恋した時間~
ぐい、と俺の腕を引っ張って、連れてい
かれた先はファーストフード店。
「……俺、奢らな……痛い痛い!」
奢らないからな、と言おうとすれば、満
面の笑みと尖ったハイヒールで、俺の足
を踏んづけてくる美海。
いや、踏んづけてくるよりもねじり潰し
てくるの方が正しいのか。
取り敢えず痛い。涙目になるくらいには
痛い。
「ハンバーガーくらい買えるでしょ?」
「単品でいいなら……」
「なにいってんの。セットに決まってる
でしょ」
……くそう。逆らえない俺が憎い。
ちょっとムカついたから、自分だけちょ
っと豪華なハンバーガーにしてやったけ
どあんまり美海にダメージはなく。
見栄をはった俺の財布のダメージがすご
かった。
「───本屋行きたいんでしょ」