【完】キセキ~君に恋した時間~
「栄生君……?」
そう呟くと、その見覚えのある彼が、こ
ちらを振り向いた。
やはりそこに立っていたのは、学校指定
のジャージ姿の、栄生君だった。
栄生君はビックリしたように目を見開い
て居たけど、俺を見つけるとすぐに笑顔
になった。
「偶然だね、徹くん」
「……ああ、うん」
ちら、と栄生君の持っていた小説を見る
と、最近人気のマンガだった。
……やっぱりこういう所は、栄生君も普
通の男子高校生なんだよな。
「ここで会ったのも何かの縁だと思わな
い?」
急に、そんなことを言い出した栄生君。
「これを機に、ぜひバスケ部に───」
「ごめん、遠慮するよ」
すぐにバスケ部にこじつけようとするな
、栄生君は。