【完】キセキ~君に恋した時間~
ぐは……無念。
やっと地獄から抜け出せたと思っていた
けど、ここが本当の地獄だったなんて…
…。
あまりの熱さに朦朧としてたから、すっ
かり油断していたぜ……。
体育館の床にうつぶせになって倒れてい
ると、パタパタと急ぐような足音が聞こ
えてきて、視界に、青いバッシュが映っ
た。
「徹くんっ!?大丈夫!?」
そして俺を呼ぶ、夏の暑さを一瞬だけ忘
れさせてくれるような爽やかな声。
ちら、と顔を上げると、そこには栄生君
が居た。
「栄生君……」
「来てくれたんだ、ありがとう。とりあ
えず立てる?向こうに保冷剤と、冷たい
スポーツドリンクあるから!」
「ありがとう……」
俺は栄生君に引きずられるようにして、
ステージの方へと向かう。
ふぅ、歩くのもしんどいぜ。