【完】キセキ~君に恋した時間~
俺にはあのゴールが三千里くらい彼方へ
と見えるよ。……大袈裟だね。
でも、思ったよりもスリー地点は本当に
遠い。
栄生君は一体どんな根拠があって、俺に
バスケが向いてるとか言ってるんだろう
。どんな意味があって俺にスリーをうた
せるんだろう。
両手で持ったバスケットボールがやけに
重い。嫌な汗まで掻いてきた。
「徹くん、早く」
どこか楽しそうに急かしてくる栄生君。
頼むから急かすのは止めて欲しい。緊張
で心臓が引きちぎられてしまう。
じ、と俺の両手に納められている、茶色
いそれを見つめる。
……失敗したら……というか、失敗する
気持ちしか湧きませんが。
やっぱり栄生君、がっかりするよね。期
待ハズレだったぜ、ケッ。みたいなさ。
……いやまあ、それはそれで良いんだけ
ど。