【完】キセキ~君に恋した時間~





俺にはあのゴールが三千里くらい彼方へ
と見えるよ。……大袈裟だね。



でも、思ったよりもスリー地点は本当に
遠い。



栄生君は一体どんな根拠があって、俺に
バスケが向いてるとか言ってるんだろう
。どんな意味があって俺にスリーをうた
せるんだろう。



両手で持ったバスケットボールがやけに
重い。嫌な汗まで掻いてきた。



「徹くん、早く」



どこか楽しそうに急かしてくる栄生君。



頼むから急かすのは止めて欲しい。緊張
で心臓が引きちぎられてしまう。



じ、と俺の両手に納められている、茶色
いそれを見つめる。



……失敗したら……というか、失敗する
気持ちしか湧きませんが。



やっぱり栄生君、がっかりするよね。期
待ハズレだったぜ、ケッ。みたいなさ。
……いやまあ、それはそれで良いんだけ
ど。






< 50 / 278 >

この作品をシェア

pagetop