【完】キセキ~君に恋した時間~





それから───……。



「ぜぇ……はぁ…」



あれからどのくらい、ボールを投げ続け
てきたんだろう。



もう手が疲労でガクガク震えてるし、息
も絶え絶えだし、汗すごいし……。



「……栄生君、も、無理……」


「……じゃあ次で終わりにしようか」



……良かった、終われる。



まあ中学生生活最後の夏に、それなりに
青春っぽいことができて良かったよ。



そんな風に思いながら、ボールを放った
ら───。



───パスッ……



「え」

「あ」




綺麗に放物線を描き、空を切っていった
ボールは、すごくすんなりと……。






< 54 / 278 >

この作品をシェア

pagetop