【完】キセキ~君に恋した時間~
それから───……。
「ぜぇ……はぁ…」
あれからどのくらい、ボールを投げ続け
てきたんだろう。
もう手が疲労でガクガク震えてるし、息
も絶え絶えだし、汗すごいし……。
「……栄生君、も、無理……」
「……じゃあ次で終わりにしようか」
……良かった、終われる。
まあ中学生生活最後の夏に、それなりに
青春っぽいことができて良かったよ。
そんな風に思いながら、ボールを放った
ら───。
───パスッ……
「え」
「あ」
綺麗に放物線を描き、空を切っていった
ボールは、すごくすんなりと……。