【続編】スパイシーな彼~彼女が生きた証愛した瞬間
後悔?


あまり後悔は感じていなかった。


親が大変なな時に、知らない顔して…顔で笑って心で泣いてなんて、祐輝にはできなかった。


これからのこと…


今は、父親への思いが大きくて、考えるなんてできなかった。


ただ流れる景色の中に、父親との思い出を重ねながら、電車に揺られている。


瑞希の細く長い綺麗な手を優しく握りしめながら、不安な気持ちを隠している祐輝…


父親の意識が戻ることを願って…


2つ前の駅に止まり、瑞希に声をかける…


「起きれるかい?もう降りるよ」


少しまぶしそうに、目を開けた瑞希に微笑むと、不安だった気持ちが不思議と安らぐ。


一人じゃない…瑞希がいる…


そう感じていた。


「降りるよ…」


瑞希の手をしっかり握りしめながら、ゆっくり止まった駅のホームへ降りた。


半年ぶりに住み慣れた街に祐輝は帰ってきた。
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