散華の麗人
月を見て、嗤う。
「なぁ?……貴様が創る世の果てには」
“俺はいないのだろう?”と言いかけて、問うのをやめた。
(当然のことだ。成田の国王が膝を折らぬ限りは俺に先はない。)
細川一正という人物が力だけを欲する貪欲で愚かな支配者ならば、斬って捨てただろう。
けれど、自分が見ることを赦されない夢を彼は追っているのだ。
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