散華の麗人

静観

――細川城・分城
陸羽は一正の部屋に入ると、山になった本の上から2番目にある本を抜き取った。
「……バカモノ。借り物くらい、返しやれ。」
そして、書類の山を見遣る。
「ふん。」
鼻で嗤うと、目を細めた。
「このような量をひとりで負えると本気で思っているのか。」
(全く、馬鹿だ馬鹿だとは思っていたがな。)
そう言うと、杖をついて部屋を後にした。
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