散華の麗人
与吉郎はそっと一礼して戦場へ走る。
(あぁ。)
その姿を見て、これが戦だと感じさせられた。
何度となく経験したはずの戦でさえも、慣れることはない。
(早く、戦なき世を……)
皆が笑える世を創ることに気持ちだけが急いていく。
それでは却って空回ると、千代ならば諌めるだろう。
(……わかってる。)
今は、戦況を変えることに尽力せねば。

国王が屈するわけにいかない。

いくら、今の成田が同じ志を掲げようとも、敵である以上は勝たねばならない。
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