散華の麗人
月夜が目を閉じると、月夜の髪の毛が黒くなり、髪飾りが無くなった。
髪を下ろした、大人らしい姿になった少女は先程とは明らかに別人だ。
唯、眼だけは同じ黒だ。
「……今度は誰を殺す?ふふふっ」
「今はいい。」
「そう。」
リアンは女性を諭す。
「私は闇夜。好きなことは戦闘。」
まるで、楽しく自己紹介するような口ぶりで言う。
「……この2人は元々、“魔女の一族”と“闇夜の一族”の間に生まれた双子です。」
「闇夜の一族……精零国随一の戦闘民族。自分の血液を武器に変えて戦うとか。」
「はい。」
風麗にリアンは頷く。
「黒い血液をしていて、万能薬にもなるとか聞いたことがある。」
「ただの伝説ですがね。」
一正にリアンは言う。
リアンは話を続けた。
「“闇夜の一族”の血を濃く受け継いだこの者は、母の胎内でもう1人の者を喰らった。」
「な……!!」
一正と風麗は絶句する。
「まさか、胎内で戦うことを知っていたのか!?」
その言葉に闇夜とリアンが頷く。
「初めて喰らった魂は私の……私達の力となった。」
闇夜が言う。
「2人の魂はひとつの身体に。この力は彼のためにふるわれる。」
リアンを見て、闇夜が笑んだ。
「もちろん。しかし、記憶は共有しているようですし、完全なる別個の人間というなれば、相違点がありますが。」
「……やから、別の名前で呼んだんやな。」
「はい。」
一正にリアンは頷く。
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