散華の麗人
そして、握り飯は頬張る。
「そういえば。」
「はい?」
風麗は首を傾げた。
「あんたは、今まではどんな奴に仕えてきたんや?」
何の気もなしに問うと、風麗はどこか寂しそうな表情をした。
「以前は、桟畑国の高橋という港町に住んでいる方に仕えておりました。」
「高橋……といえば、工業の発展が大きい街やな。公害の被害も報告されとる。」
「はい。1年前、工業開発が行われた町です。」
一正に風麗は答える。
「そこの、漁師であり地主である喜作という男がおりまして……」
風麗は過去を思い出す。
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