散華の麗人
目線だけで名簿を追う。
「笹川、敦賀……」
名簿の隣には書物名がいくつか書いてある。
棚に詰められた書物には文字が書いてある付箋がびっしり貼ってあった。
(これだけの兵を管理していたのか。)
雅之は少しだけ感心した。
名簿を追うと、特に見覚えがある名前が目に入った。
「松内、は未だ仕えていたのか。」
雅之は懐かしそうに目を細めた。
多くの家臣の中でも、彼には特に世話になったものだ。
稽古から教養まで教わった。
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