散華の麗人
そして、予定通りに城を出た。

「何をそんなに焦っているのです?」
馬を走らせながら風麗は問う。
「……」
暫く、雅之は黙った。
「あの馬鹿餓鬼を問い詰める。」
(何故、わざわざ敵に回る……?)
そう言うと、苛立つように加速した。
「馬が疲弊するだけですよ。」
風麗は言う。
「余程、大事な人なようで。」
「ふん、誂うつもりか?」
「いいえ。」
はっきりと否定して、隣に並んだ。
「羨ましいです。」
悲しげに笑う。
< 499 / 920 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop