散華の麗人
それが遥葵だと気付くのには時間がかからなかった。
「あぁ。分城に影武者として居る八倉雅之から、情報を聞き出して欲しい。」
「雅之さん!?わぁい!雅之さん!!いくいくー!」
「…………遠足ではなく、任務だと心せよ。」
「どっちでもいいよ。雅之さんに会えるなら。」
「……」
柚木は頭を抱えているが、そんなことをお構いなしに遥葵ははしゃいでいる。
(あぁ……)
雅之も静かに頭を抱えている。
「低脳。モット真面目ニシロ。」
「うっさい、カタコト。」
埜々に遥葵は言い返す。
「成功すれば文句はない。」
柚木はそう言うと立ち上がる。
「ひとまず、猶予までは動かぬ。」
「承知した。」
与吉郎はそう言うと外に出た。
< 557 / 920 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop