散華の麗人
そして、目を細めた。
「人間は愚かで浅はかな癖にすぐ裏切る。そんな女の血など汚らわしい。」
「景ゆ」
「女は最後に“妖怪など愛さなければ良かった”と言った。」
そう言うと立ち上がる。
「人間など、解り合えない。あれを愛することも無い。」
その無感情な目には憎悪が感じられた。
「未だ女は生き存えているようだ。見つけたら、その首を土産に持ってきてやろうか。」
そう言い残して襖に手を掛けた。
その背を一正が掴む。
「何だ。未だ、解り合うように言うつもりか。」
無感動な視線を一正に向ける。
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