散華の麗人
その視線を一正は真っ直ぐに受け止める。
「……愛してもその悪を知り、憎みてもその善を知る。」
「ふん、諺か。随分と貴様にしては賢い事を言うものだ。」
「良い面も悪い面もあるんは人間だけやない。」
「何故、貴様はそこまで言う。自分が両親を亡くしたからか?乳兄弟だからか?」
「両方や。」
「言ったはずだ。解り合えないと。何度言わせる。」
「何度でも。」
そう言って手を離す。
「あんたが解るまで。」
「それは根気が要ることだな。」
景之は溜め息混じりに言う。
「お互いに憎んでいるのだ。今更変わりはしない。」
そう言い残して去って行く。
「家族なのにどうして……」
辻丸はそう呟いて景之を追う。
「……お互い、か。」
一正は無力さに自嘲する。
「……愛してもその悪を知り、憎みてもその善を知る。」
「ふん、諺か。随分と貴様にしては賢い事を言うものだ。」
「良い面も悪い面もあるんは人間だけやない。」
「何故、貴様はそこまで言う。自分が両親を亡くしたからか?乳兄弟だからか?」
「両方や。」
「言ったはずだ。解り合えないと。何度言わせる。」
「何度でも。」
そう言って手を離す。
「あんたが解るまで。」
「それは根気が要ることだな。」
景之は溜め息混じりに言う。
「お互いに憎んでいるのだ。今更変わりはしない。」
そう言い残して去って行く。
「家族なのにどうして……」
辻丸はそう呟いて景之を追う。
「……お互い、か。」
一正は無力さに自嘲する。