散華の麗人
真っ直ぐに生きているひとだと三人は時雨に対して思った。
(成る程。嫌われるわけだ。)
風麗は痛感する。
周囲に“平懐者”と評されるのもよくわかる。
「家族が仲良くするのは当たり前のことではないのですか?」
「その家族が全部が全部そうあるとは限らない。」
茶々に風麗が言った。
「様々な家族のあり方を見聞きした。暴力故に愛を注ぐあり方、子を蔑ろにする家族、望んだ子ではないと言い放つ親。……親子で憎み合う者も居た。」
風麗は目を伏せる。
「何とも、やるせないな。」
伏せた目を上げずに呟く。
「……悲しすぎます。」
茶々も悲しそうに目を伏せた。
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