散華の麗人
非礼と思いながらも特に態度を改める様子はない。
「お言葉ですが陛下。」
時雨は一正を真っ直ぐ見つめる。
「これ以上、踏み荒らす真似はおやめ頂きたい。」
その言葉は一正自身もわかっていることだ。
「お師匠が生きている、ということには驚きましたが。その情より、未だ貴方が諦めていないことに驚いていますよ。……理解していないわけではないのでしょう?」
「わかっておる。」
一正はそう言うと苦笑した。
「血が繋がった家族が生きておるのに、仲良う出来ひんのは……さみしいことやな。」
「陛下は甘いのです。」
寂しそうに言う一正にお構い無しに時雨は迷い無く言う。
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