散華の麗人
しかし、侵入者が現れた。
裏門から入った侵入者は城の者から捕縛され事なきを得たが、時雨と敦賀は呼び出された。
『この失態、如何する。』
松内が眉を寄せる。
侵入を許した敦賀は正に切腹を言い渡される寸前だった。
『お言葉ですが。』
そこへ、時雨が進み出た。
『侵入者を通したのは敦賀です。しかし、それを想定しなかった私に責任はあります。故に』
時雨は有無を言わさずに真っ直ぐ松内を見据える。
『敦賀を処す前に私をお斬りください。』
その言葉に周囲がざわつく。
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