散華の麗人
風麗は不敵に笑んだ。
「……女の覚悟の邪魔は出来ません。どうぞ、斬ってください。」
その返答に一正が溜め息を吐く。
「まいったなー……」
頭を掻いて呟いた。
「わかった。ただ、絶対に、死ぬな。」
真っ直ぐ、2人を見る。
「2人共、わかったな?」
「はい。」
2人は笑んで返答した。
そして、千代は懐に小刀をしまう。
「わしはリアンのとこに行く。あんたは明日に備えて休め。」
一正はそう言って外に出た。
「失礼します。」
風麗も後ろに続く。

(休め……か。)
「ふふっ……あの人なりに気を遣ったつもりかしら。」
千代は笑いながら部屋を出た。
< 84 / 920 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop