恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~



あの長身は、よく目立つ。


定時より少し早めに上がれた私は、藤井さんがまだ来てなかったらそのまま逃げても構わないだろうか、とか。
仄かな期待を抱いていたのだが。


斜めの立ち姿、こちらに気づいた彼は柔らかく笑っていて、力が抜けた私は遂に観念の笑みが溢れた。


根負けだ。


歩み寄っていくと、まず以前から気になっていたことを聞いてみた。



「身長、何センチあるんですか?」

「あ?あぁ、188」

「あと2センチがなんで伸びなかったんでしょうね」


180超えはよくあるが、190超えはなかなか聞かない。


「遺伝子に逆らえる限界?俺、両親二人共ちっこいから」



手を軽く背に添えて歩くように促される。


この時間から、この周辺は賑やかだ。
大きな駅と繋がっているので会社帰りのサラリーマンやOLで溢れかえっている。



「美里もちっこいな」

「藤井さんに比べるとそうですけど、163ありますよ」



多分、女子にしたら高い方かと思う。




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