恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
嫌な予感とともに振り向いた。


初めて悪戯されたのは、久々に実家に帰っていた日。
その後も時々、郵便受けにゴミが入れられていることが何度かあった。


振り向くと案の定。


少し歪んで閉まりの悪くなった、うちの郵便受けに、今日はまた一段と。
ぎゅうぎゅうにゴミが詰め込まれているのがわかった。


投函口から、ストローのようなものまで覗いている。



「またやられた!」



慌てて駆け寄って、小さい南京錠のナンバーを合わせる。
開くと、歪んでいるせいで『がこん』と不細工な音がした。


ばさばさ、がさっ。


広告をぐしゃぐしゃに丸めたゴミや、何かお菓子の袋のようなもの。
見えていたストローはパックジュースを潰したものを、投函口から無理矢理押し込んだのだろう。


それらがコンクリートの床に落ちて、頼りない灯りに照らされている。


溜息をついて足元を見ていたら、藤井さんが屈んでゴミを幾つか指先で突っついた。



「なんだ、これ。またって、何度もやられてんのか」

「…つい最近からですけど。時々」



肩を竦めてそう言うと、藤井さんがしゃがんだまま少し顔を上げて集合ポストを見上げた。

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