恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
「信じませんよもう」


そう何度も騙されてたまるもんか。
明らかに拗ね顔の私をみて、心底可笑しそうに喉を鳴らした。



「とりあえず帰るわ、なんかあったら言えよ」

「あ、はい」



見送る為に立ち上がろうと、テーブルに手をついたとき、その手を大きな手で掴まれた。


驚いて、手を引いたけど彼の手は少しも緩まなくて、寧ろ力強く握り締められて。
この意図を知りたくて彼を見上げた。


逡巡するように、何度か唇を動かした少し後。
これは信じろよって、彼が言った。



「貴方しか欲しくないって、言わせたくなった。だからそれまで、手は出さない」



ゆっくりと、刻み込むように。
私は大きく目を見開いて、息をするのも忘れるくらい。


この人は。
人を翻弄するのが上手い。
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