恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~




アパートまでの帰り道は、10分くらい。


夕暮れ時の空は複雑だ。
昼と夜の境目が、似合わない色同士を混じり合わせたようで奇妙で綺麗。


儚く思えて哀しくなるのは、刹那に表情を変えるから。


私達の関係も、変わってしまうんだろうか。


今日は、恵美とは仲直りできなかった。
だから、もう暫くカナちゃんに協力を仰がなければいけない。


昼休憩や小休憩、どこでもいいからなんとか恵美と時間を合わせて、少しでも話をしたい。


恵美と友達で居たい。
この気持ちは、少なくとも独りよがりではなかったはずだ。


だったらまだ、仲直りの余地はある…!
と、思わなければ挫けそうだ。


嫌がらせのことを笹倉に話しておくべきか悩んでいたが、今日は休みだった。


このところの私の行いから、とても連絡しづらい。


彼のマンションに出入りしているところを写真に撮られているのだから、彼にも何か嫌がらせのような出来事がおこっていないか、若しくは心当たりがないか聞きたかった。


もしかしたら、笹倉絡みの可能性もなくはない。
あの男は、兎に角モテる。


気不味いし会うのは避けて、帰ったら電話しよう。


アパートの入口に着いて、集合ポストを開けた。
今日は、異常なし。


階段を上がりながら、携帯が振るえているのに気付いて取り出すと、液晶に藤井さんの名前が見えた。



「もしもし?」
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