恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
「嫌がらせ?」

『ああ。ちょっと前からポストにゴミ入れられたり、昨日は非通知で無言電話があったり。ゴミの中にさ、あの男と一緒にマンションはいってく写真が丸めてあったんだよな』

「………それで?」

『まー…あいつ絡みで逆恨みでもされてんじゃないかってな』

「……私を疑ってるんだ」

『今の状況だと一番シンプルな答えだろ。それに、俺が疑っとかないと、美里は考えもしねぇだろうし』



少し、胸が傷んだ。


この男の言う通り、万一私が嫌がらせをしていたとしても、美里はきっと疑いもしない。


例え、ずっと喧嘩したまますれ違ってても。


しかし、嫌がらせの話ですぐに頭の中で直結した、ある出来事があった。
私も和菓子フロアの知合いから聞いた話だが。


このところ、みさの良くない噂話が販売員の間で囁かれているみたいなのだ。
私はみさと仲が良いのを知られているから、直接聞くことはないが。


藤井さんもその噂のダシにされているのだが



『長身の会社員が口説きに通っている』



ただそれだけの内容ではなかった。



『誰とでも遊んでる、ヤリマン』

『他にも家に連れ込んでる男がいる』



そんな話になって洋菓子の間だけじゃなく、和菓子や惣菜フロアの子にまで広がっているらしいのだ。


まるで誰かが率先して吹聴しているような、嫌な予感がしていた。

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