恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
「あの」



私は、その噂の一件をかいつまんで藤井さんに説明した。
そして。


それを吹聴している人間が誰か、私にはおおよその見当がついていた。




「ポストにゴミが入れられた日とか、聞いてますか」

『ああ、今までのなら一応聞いてる。美里もうろ覚えだったが』

「シフトと照らし合わせたらある程度絞られて、確証が取れると思うんです。だから……」



これからまた、悪戯をされた日があればそれもまた判断材料になる。


もしも、噂をわざと吹聴しているのなら。
それも含めて、ポストも無言電話も、全部一人の人間がやったことじゃないだろうか。


まだ、決まったわけじゃない。
でも私は確信していた。


悪戯の日と照らし合わせるのはあちらに任せて、私は私でできることをする。


そう決めた。


毎日隙さえあれば、私とお昼にいこうとするみさを猛ダッシュでかわしながら、私はその心当たりにできるだけ話しかけた。


仲良くするのは簡単だ。
でも、核心には至らないまま。


悪戯は繰り返されて、噂はすでに一人歩きをはじめていた。


みさが、女の子同士の噂話には全く疎いことが救いだった。
知ったところで、彼女はあまり気にしないような気もするけれど。
< 170 / 398 >

この作品をシェア

pagetop