恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
「最近、会えてなかったかな…フェイドアウト気味。だから、別れ話も簡単だったし」

「そうなんだ…」


意外に感じて、目を瞬いた。
一度だけあったことがあるけど、恵美にベタ惚れのイメージがあったから。


「他に好きな人がいる状態で、付き合っちゃった私が悪い。そこまでしといて未練ばっかり残って、けじめつけるのも人任せにしてるから終われなかった」

「人任せ?」

「みさと瑛人君が付き合ってくれたら忘れられるって思い込んでた」


言葉が見つからず、喉を詰まらせる。
そんな私の表情を見て、恵美が苦笑した。


「みさのせいじゃないわよ」


そんな声を聞きながら、私はごん、とテーブルに額をぶつけた。
余り話したくない話題だと詰まる喉から、無理やり声を出そうとしたら、少し掠れた声になる。


「…あの日」

「…うん?」

「…、笹倉、と、初めてえっちした日」


恵美は聞きたくもない話だろうか。
けれど『腹割って話してみれば』と、以前笹倉に言われたことを思い出す。


少し視線を上げれば、同じようにテーブルに頭を凭せ掛けた恵美がこちらを見ていた。
私の言葉を待ってくれているのだと、思う。
< 205 / 398 >

この作品をシェア

pagetop