恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
待ち合わせの改札で、私は目を見開いた。
なぜなら。


「みさ、久しぶり!」


といっても一ヶ月ぶりくらいなのだけど。
駆け寄ってくる、私より少し背の低い恵美の横に、どん、と背の高い藤井さんが居た。私服姿が珍しく、一瞬誰だかわからなかった。


「久しぶり。っていうかなんで藤井さんまでいるの」

「荷物持ち」


ずば、と切れ味鋭く恵美が言う横で、長身のこの人は眉を顰めた。


「藤井さんって、俺様かと思ってたんですけど…案外下僕キャラですか」


面倒見の良いところを利用されて、何やら恵美に振り回されてるように見えてきたのは気のせいだろうか。


「うるさい。お前ら二人だとなんか余計なもん買いそうだからな」

「余計なもんってなんですか、ベビー用品見に行くだけですよ」


ね、と二人で顔を見合わせると。


「ま、行けばわかるわ」


と鼻で笑われ、恵美とふたり首を傾げた。


3人並ぶと、何か微妙な構図だな、と思いつつショッピングモールを歩いて目当ての店へと向かう。


百貨店も良いけど、やはりブランド物より品揃え豊富なベビー専門店の方が良いだろう。


それに、ここらで百貨店といえば、勤めていたあの店になってしまうし。
今日が出勤なのかどうか知らないが、余り近寄りたくはない。


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