恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
畳んだ肌着を重ねて置きながら平然と、ストレートな言葉を投げてくる。
私が顔を赤くして怯んでも、まるでお構いなしだ。


「巡り合わせだなぁ。今、このタイミングのおかげで、こうしてる気がする」


そうかもしれない。


子供が出来なきゃ、私も笹倉も未だうじうじしていたかもしれないし、その後どうなっていたかもわからない。


彼が少し椅子を引いてテーブルとの間に斜めに空間を作ると、私の腰を掴んで引き寄せ、膝の上に座らせた。


お腹に緩く回された腕と、項の少し下くらいが彼の息で暖かい。


「…ねぇ。なんか、急に、さ。こういうの、苦手なんだけど」


笹倉が。
極甘。


「いつもこんなもんだろ、セックスする時は」


背中でくすくすと笑う彼の息も。
お腹を服の上からさわさわ撫でる指先も。
っていうか、空気が、もう、くすぐったい。



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