恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
彼のマンションに着いて、第一声に、困る。



「ただいま」

「…オジャマシマス」

「違う、ただいま」

「……タダイマ」



なんだ、この恥ずかしさ。
照れの余り何故か仏頂面になる私に、笹倉が肩を揺らして笑った。



「晩御飯、なんか作ろうか。冷蔵庫見ていい?」

「いや、ちょっと座ってろよ。ずっと立ちっぱだろ。デパ地下で惣菜買ってきた」



心配性の笹倉にテーブルにつかされる。
妊娠してからやたら眠いし疲れやすくなったのは私も感じていて、お言葉に甘えて大人しくしていることにした。


……確かに、ちょっと足がだるいかな。


彼が惣菜を皿に盛り直したりしてるのを、テーブルに頬杖をついて眺める。
こんこんこん、と3種類、大皿盛りの料理が並べられて。


「はい」

「アリガト」


渡された小皿を受け取って、向い合わせの位置取り。



「サラダとかのが、食べやすいかと思って」


フレッシュ系のサラダと、カボチャサラダ。
そして当然、唐揚げ。



「ぷ…やっぱ唐揚げ」

「うん、それは外せねぇ」



でも、あんまり葉っぱ食べないくせに、私の為に多分、サラダを多く買ってきたんだと思う。


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